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インタビュー:ST 髙橋良太さん

前回のSTインタビュー企画に続き、本ブログでは心優しくて子どもが大好きな言語聴覚士の髙橋良太さんを紹介します。

Q:言語聴覚士としての日頃の臨床業務を教えてください

 訪問看護ステーションの言語聴覚士として、乳幼児から高齢者と幅広い年齢の方々へリハビリをおこなっています。摂食嚥下訓練、発達障害や難聴の方への言語コミュニケーション訓練、気管切開をしている方への呼吸発声発語訓練、脳卒中後の構音訓練や高次脳機能訓練など色々な訓練をしています。

Q: 言語聴覚士になろうと思ったきっかけはなんですか

 もともと私は心理学系の大学を卒業して、臨床心理士を目指していました。学費捻出のため2年間院浪人をして自治体の心理相談員と、学生時代から行っていた学童保育の指導員をしていました。そのなかで、補聴器をつけたお子さんや言葉での指導が難しいお子さん、周囲とのコミュニケーションが苦手なお子さんの指導で悩むことがありました。前から資格の名前は知っていましたが改めて調べてみて、コミュニケーションを多面的に評価し指導助言ができる言語聴覚士に興味を持ちました。心理士は当時国家資格化されておらず、働き口も少ないため、将来性を考えて進路変更したのを覚えています。

Q: 言語聴覚士になる道のりはどうでしたか

 正直しんどかったです。大卒2年課程の養成校に入学しましたが、9時から18時までの授業が週6日と、私は勉強が苦手なので、学校の開いている21時まで居残りで勉強していました。子育て中や主婦の同級生はいつ寝ていつ勉強しているのか不思議でした。心理学や生涯発達の授業はベースがあったので楽でしたが、当時興味のなかった高次脳機能障害や嚥下障害、医学系の勉強は憂鬱でした。社会人経験のある同級生が多く、今まで学んできたことも人それぞれで、各々得意分野を他の人に教えあえるいい環境がありました。2年時の12月に実習が終わり、2月の国家試験まで時間がありませんでしたが、毎日コツコツのおかげで国家試験の勉強はそこまで辛くなかったです。

Q: 費用はどのくらいかかりましたか

学費、書籍代、実習費、白衣代等で250万円ほどだったと思います。学費で貯金もなくなり、奨学金を利用していました。

Q: 言語聴覚士になる上での最大の難関はなんでしたか

 実習でしょうか。3か月の臨床実習が必修でしたが、私は福井県の老人保健施設と千葉県の大きな総合病院に振り分けられました。どちらも地方だったので引っ越しや自炊、家事と課題で忙しかったです。厳しい実習先でしたが、このときの経験がなければ今臨床家として働けていなかったと実感しているので、充実したものだったと思います。

Q: 言語聴覚士になり、これまで一番嬉しかったこと、感動したことについてエピソードを1つ具体的に教えてください

 現在の職場に入職する前は総合病院で働いていました。食事や脳機能、コミュニケーションのリハビリを行う言語聴覚士ですが、気管切開と経管栄養から開始した患者さんが退院時に「久々に食べたキャベツのシャキシャキ感は一生忘れない、ありがとう」と言われた時はグッときました。また、失語症で言葉が出づらい状態から、名前が言えるようになり、発語できる言葉が増え、自分の思いを上手く伝えられず困っていた方と意思疎通が取れた時の笑顔・喜びは忘れられません。人にとって言葉を交わすことは重要なのだと実感しています。

Q: 5年後の目標はなんですか

 人間的にも、STとしての知識・技術的にも、もっともっと大きな男になることでしょうか。謙虚な気持ちで、目の前の患者さん・利用者さんに必要なものを提供できるよう努力しなければと思います。そして今担当しているお子さんたちとは、たくさんコミュニケーションをとれるようになりたいです。全国的にSTはまだまだ少ないので、STが増え一人でも多くの方に食べること・話すこと・聴くことをとおして笑顔になっていただきたいです。

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