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対人相互スキルの定型発達(生後1歳前後まで)

今回はコミュニケーションに不可欠な非言語面の発達についてお話します。人とのやりとりを円滑に行うための基盤となる非言語コミュニケーション能力は生後1年ほどで発達するといわれています。

〈泣く〉

赤ちゃんは生まれた時から他者とやりとりする能力を持っています。新生児は空腹感、排泄、その他にも不快なことを「泣く」という形で相手に伝えようとします。「相手に要求する」というコミュニケーションの原点がここにあります。

〈笑顔、アイコンタクト〉

 生後3ヶ月頃になると「笑顔」という形で自分の周りの人に働きかけるようになってきます。お母さんなどが名前を呼んであやすと、子どもはにっこりと目を細めて口を大きくあけて笑います。この経験が養育者と子どもの二者関係の間で「共有する気持ち」を育てることになっていきます。

 7ヶ月頃になると、子どもが相手に呼びかけるように「ンンン」と声を出すようになり、アイコンタクトもするようになっていくのです。自分の要求や欲求が明確になって、意図も明確に示すようになります。

〈三項関係、共同注意〉

 生後9ヶ月頃になると、他の人とのコミュニケーションは更に発達し、変化が起きてきます。それまでは、子どもは自分と他の人という二者間でのやりとりが主なものでした。この時期になると第三の物を介したやりとりをするようになり、これは「三項関係」と呼ばれます。具体的には他の人の視線も先にあるものを、自分も見ることができる能力で「共同注意」と言われる能力になります。この能力は言語の発達の促進に非常に大切です。

〈指差し〉

 生後12ヵ月頃になると、要求や相手への応答として「指さし」がみられるようになります。自分の欲しいものを指さして相手に伝えるようになります。また、「わんわんはどれ?」と聞かれて、犬を指さすといった相手への応答も指さしという形で表現することができるようになってきます。

〈本格的なやりとりの始まり〉

 1歳前後になると、他の人が「あげるよ」といって差し出した物を受け取ったり、反対に「ちょうだい」と言われて物を渡すなどのやりとりができるようになってきます。この「やりとり」の成立はコミュニケーションの発達、また言語発達の重要な指標のひとつとみなされます。徐々に大人だけでなく、子ども同士での関心も高まっていきます。やりとりを通して、さらに多くの人とコミュニケーションを取れるようになっていきます。

参考文献

・石田宏代、大石敬子:言語聴覚士のための言語発達障害学,医歯薬出版,2012

・秦野悦子:ことばの発達入門,大修館書店,2001

・岩立京子:乳幼児期の社会情動的発達研究の動向 The Annual Report of Educational

Psychology in Japan 2002, Vol. 41, 42-52

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