4歳前後から就学前までの言語の獲得
★ 4歳前後
4歳を過ぎると、獲得する単語の数が増え約1500語になり、多語文で話せるようになってきます。また、出来事にそって言葉で表現することができるようになります。抽象的な単語や助詞の使用も多くみられるようになってきます。他の人がどのように感じるかを考えることができるようになっていきます (「心の理論」)。
さらに、この時期から単語を構成している1つ1つの音に関心を持つようになります。単語がいくつの音でできているのか、音がどの順番で並んでいるかなどが分かるようになってきます (「音韻認識」)。
〈この時期の言語獲得の目安〉
・多語文で話せるようになる
・単語の1つずつの音に気付き始める
・時系列にそった内容を話せるようになる
・他の人の気持ちを理解できるようになってくる
★ 5歳~6歳前後
5歳から就学前の時期は、さらに言語の発達が進み、獲得できる単語の数は約2000語にもなります。過去の経験を時間的・空間的な流れにそって話したり、自分で作ったファンタジーを語ったりするようになります。
音韻認識も完成し、しりとり遊びなど音を使った遊びができるようになります。この音韻認識は文字学習の前提となる能力でもあります。そのため、就学前のこの時期に文字に興味を持ち始めます。子どもたちは、文字に興味を持ち読み始めると短期間でほとんどのひらがなを読めるようになっていきます。また、「プレリテラシー」といい、まるで文字を正しく書いたり読んだりしているようなふるまいをするようになり、お友達に手紙などを書きたがるようになります。この時の文字は鏡文字であったり、文字として形は正しくないものも多く見られます。しかし、この時期を経て正しく文字を書けるようになっていきます。
〈この時期の言語獲得の目安〉
・10までの数がわかるようになる
・幼児語が減ってくる
・文字に興味を持ち始める
・サ、ザなどの歯間音がほぼ完成する
参考文献
・石田宏代、大石敬子:言語聴覚士のための言語発達障害学,医歯薬出版,2012
・小寺富子:言語発達遅滞の言語治療 改訂第2版,診断と治療社,2008
・秦野悦子:ことばの発達入門,大修館書店,2001