吃音と場面緘黙について理解を深める(全5回): 吃音の治療法

最終更新: 7月24日


前回は吃音の定義や診断基準などについてお伝えしました。今回は、治療法について詳しくみていきます。また、海外と日本の治療法の違いを紹介します。

I. 吃音の治療方法

大きく直接法と間接法の2種類に分けられる。


  1. 直接法: 意図的に話し方をコントロールして流暢な発話を目指す発話訓練

  • 流暢性形成法:吃音を生じさせず滑らかに話す

  • 吃音緩和法:ことばが出ないような苦しい吃音を、軽く繰り返す程度の吃音に変える

  • 統合的アプローチ:上記2つの複合。つまり、具体的な「流暢な話し方」を見せて指導をする

2. 間接法:意図的な話し方のコントロールは行わず、正常な発話を促していく訓練

  • 発話環境の調整:「流暢に話す」体験を増やすような環境の調整

  • 系統的脱感作法:不安や恐怖を生じる状況や物に対して、脱感作と呼ばれるリラクセーション(主に筋弛緩などを用いる)を用いて十分にリラックスした状態で段階的に不安対象に暴露して緩和させる方法

  • 自律訓練法:特定の手順を通した自己暗示によって心身をリラックスさせ気持ちの安定を図る

  • 年表方式のメンタルリハーサル法:「話すことを回避する」ようになった対象者に対して、日常生活では話すことへの意識を向けず回避をしないように指導しつつ、夜間寝る前に頭の中で毎日話すイメージをすること。



治療方法は主に幼児・学童・成人用と区別されているが、基本的には上記のアプローチを組み合わせて指導する。


【幼児期について】

  1. 発話環境の調整:子供が自然に真似をしながら楽な発話になるように誘導する。

  2. 周囲がゆったりした発話をする

  3. 吃音に係わらず、しっかりと子供のはなしを聴く

  4. 話す順番などを決めて、落ち着いて話せる空間を作る

  5. 発話の簡略化:周囲に吃音が出にくい是非か短い言葉で答えられるような質問をしてもらう。

  6. 流暢性形成法:「流暢な話し方」を言語聴覚士や保護者が子供に見せることで、それを自然に真似させ「流暢な発話」体験を増やす。


II. 日本での支援、指導の現状

学齢期であれば、吃音が疑わしい場合は耳鼻科以外に小学校に設置されている「ことばの教室」や通級指導、又は療育センターやリハビリテーション科に相談することが推奨される。特に、幼稚園や小学校など教育機関で過ごす時間が大半である為、学級内での支援が重要である。

言語障害児通級指導教室 (ことばの教室)は、週に1回程度、通常の学級に在籍した児童が通ってくる通級指導の1つである。言語聴覚士による吃音を含めた言語障害や、最近では発達障害を伴う児童に対して学校生活で苦痛を伴う症状を緩和、改善する指導が行われる。しかし、2018年の時点で東京都の小学校1271校のうち、ことばの教室がある学校はわずか80校であり、深刻な専門家不足である。


III. 海外の治療

基本的には、上記の直接法や間接法の組み合わせによる治療であるが、近年、幾つか日本医療が注目している治療法がある。


  • Parent-Child Interaction Therapy (PCIT): イギリスで行われている治療方法。主に、ビデオで親子の普段のやりとりの場面を撮影し,子供が流暢に発話する状況そうでない状況を発見・観察し,流暢性を促す状況を増やすように親を指導する。

  • Lidcombe Program (LP/リッカムプログラム): オーストラリアで行われている治療方法。言語聴覚士の下、対象者が流暢に発話出来た時は褒め、自身の評価を聞く。吃音症状が出た時は指摘だけに留め、言い直しを促す。指摘より褒めることに重点を置くことで「話す」ことに忌避感を持たせないようにする。

〈参考文献〉


  • 赤星俊, et al. 「吃音検査法< 試案 1> について.」音声言語医学 22.2 (1981): 194-208.

  • 小豆畑病院 「吃音リハビリテーション」小豆畑病院 (2017)

  • 瀬尾達「病気スコープ 吃音」EPARK Medical Co., Ltd (2020)

  • 田中恭子.「吃音(小児期発症流暢症)」週刊日本医事新報5006 (2020): 80

  • 髙橋三郎 「ことばの教室(通級による指導)ってどんなところ?」内田洋行教育総合研究所 (2019)

  • 日本福祉教育専門学校 「吃音症(きつおん)についてご存知ですか」日本福祉教育専門学校(2019)

  • 森浩一.「総説小児発達性吃音の病態研究と介入の最近の進歩」小児保健研77(2018): 2-9

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